結合をよくするには

基本的には巻線そのものの設計ではなく、巻線構造に大きく左右されます。結合をよくするということは、1次巻線から発生した磁束をなるべく多く2次巻線の中へ通過させるということです。

 トランスの平均巻き
1次巻線と2次巻線が平均に巻かれていることが重要で、ボビンの巻き幅一杯になるように巻くのが基本です。

N1もN2もボビン幅いっぱいに巻く

 結合の悪い巻き方
巻数の関係で、ボビンの途中で巻き終わってしまう様な場合は、電線の径をより太いものにして、ちょうどボビン幅一杯になるようにします。あるいは細い電線を、2本並列にして巻いて行きます。

隙間が空くと結合が悪くなる

 2次巻線の悪い巻き方
2次側の二つの巻線を1層に巻くと、ちょうどボビン幅一杯で巻ききれるような時がありますが、これも結合を悪くする原因となります。この場合もそれぞれの巻線が独自に巻幅一杯になるように線径を調整します。

このような巻方もNG

 トランスの巻線構造
巻数の少ないときは、間隔をあけてボビン幅いっぱいに
巻くようにする。

 サンドイッチ巻き構造
    (a)電流分割    (b)電圧分割    (c)巻線構造
何層かに分けた1次巻線で、2次巻線を挟み込むように巻く方法です。(a)は、電流分割巻きといって各巻線は最終的には端子で並列に接続します。(b)は、電圧分割巻といい分割して巻かれた各巻線間は最終的には直列に接続します。それぞれの使い分けは、大きな電流が流れる時は電線も太く巻数が少なくなりますので電流分割,逆に電流が少なかったり、電圧の高い時には巻数が多くなりますので、電流分割にするのがよいでしょう。いずれにしても、分割する層数は多ければ多いほど結合はよくなります。ただし全体として、構造が大変複雑になります。

 トランスのストレ・キャパシティ
Cs:ストレ・キャパシティ
このような巻き方は巻線間のストレ・キャパシティCsが増えてしまいます。実はこのCsの成分でノイズが1次側から2次側へ、また逆に2次側から1次側へ移行してしまう問題が起こりやすくなります。特にスイッチング・レギュレータでは大きな問題です。ですから目標としては、1次巻線は3層程度で2次巻線は2層程度が妥当なようです。

以上のこれらの資料は各々の抜粋資料です。